新MOVERIOは実用端末たりうるか。BT-200AVを借りて試した話

2015年3月31日火曜日

Engadget・エプソン主催のMOVERIO体験会へ参加し、MOVERIO(BT-200AV)を6ヶ月間の無料モニターとして借り受けました。

去る3/17、仕事を半ば強制的に切り上げて(無理くりコードをpushして引き揚げた後でバグに気付いて慌てて対応などしたのだけどそれはそれとして)都内某所へ向かい、近所にある似た名前のビルのエレベータに乗り込んでから目的地間違いに気付くというベタな展開を経て会場着。



今回はブロガー用のイベントということで、開始前から会場はブロガーな雰囲気に包まれていました。私もbloggerでblog書いてるからブロガーを名乗っていいはずだというロジックのもとに参加を申し込みましたがほどよくアウェイ感がありました。




= MOVERIOと私

さて、先に蛇足から。本blogの右側に貼っているアイコンもそうですが、私のTwitterのアイコンは長らく旧MOVERIO(BT-100)をかけた写真でした。割と思い出深い、3年前のとあるイベントでjigの福野さんが撮ってくれた写真です(そう、Xperia rayで)。

そういえば体験会の時にも「鯖江市の方が〜」という話がチラっと出てきて会場が「(福野さんだ・・・)」「(福野さんだ・・・)」という空気に包まれた気がします(気のせいか)。

BT-200AVを借りられるというところにももちろんテンションが上がりましたが、実は「BTのTのほう」たる津田さんの話を伺えたのがとても嬉しい体験でした。

体験会自体の模様はきっと既に本物のブロガーの人々が書いている(まとめの記事があがってましたね)のであまり触れず、偽ブロガーとしては自分の興味の話をするほかありません。

今回は体験会の最中とその後に触ってみて得た感触について、忘れないうちに書いておきます。

= ハードウェア面の話

CPU

CPUはデュアルコアのOMAP 4460(1.2GHz)ということで、初代よりもだいぶ進化しています。このCPUはなかなか思い出深いもので、初のAndroid 4系端末として登場したGalaxy Nexusに載っていたのと同じものです。
2011年末当時としては結構なハイスペック機でした。2015年の現在となってはミドルレンジの下端ぐらい(クアッドコア 1.2GHzあたりがミドルレンジの中間ぐらい)ですが、極端に低スペックというわけでもありません。

操作性

操作性について、MOVERIO(BT-200)は先代と同じくトラックパッドが前面についたコントロールボックス兼端末本体を使って操作するんですが、タッチパッドの操作感がつらいというのが率直な感想でした。具体的には画面のスクロールが面倒です。タッチパッドはマルチタッチ対応なので2本指でスクロールという方法が用意されているのですが、先代MOVERIOにあったスクロール用の十字カーソルボタンのほうが使いやすいものでした。Webなどで長い画面をスクロールしていくのが先代よりもかなり面倒になりました。
他社製品ですが、ジョグダイヤルはやはり偉大だったのだなぁとしみじみ思いました。

先代MOVERIOの兄弟機といえるMeta 1の話

新MOVERIO(BT-200)とはほぼ関係ないのですが、MOVERIO体験会はエプソン社員の方と話をできるように構成されていたので他の話もあれこれと伺いました。その中で伺えた話です。
Meta 1は、2013年にクラウドファンディングで資金を集めて開発が開始された端末で、目の前に表示されるホログラフを指で触れるというインタフェースを実現するものです。
実はこれ先代MOVERIOの部材をふんだんに使った端末で、2014年の暮れに出荷開始されました。Meta 1について詳しくは別の機会に書くとして、ここでは体験会の現地で得た話だけメモしておきます。
  • Meta 1のコントロールボックスは基本的にMOVERIO(BT-100)のものを流用して作っている。なのでAndroidのバージョンも前のまま
  • Meta 1に使われたHMDあたりの部材は2013年中に納入していた
  • BT-100にはHDMI入力とか付いていないけれど、Metaの人たちががっつりと手を入れて対応した
  • 搭載センサーの差もあり、だいぶ別物になっている

Wi-Fi

5GHz帯をサポートしていないようで、少々つらい(特に電波輻輳時)感じですが、通常利用の範囲では問題ない気がします。まあ、通常利用の範囲を超えるのがいみじくも今回のようなイベントで、体験会中にWi-Fiがつながりづらくなるという問題があったのですが、多分5GHz帯をサポートしていれば相当マシだったはずです。

サウンド

イヤフォンは、手元にあるCreativeのものとよく似たものが付属しています。BACKキーのカチッという音響がやたら響いて良い気がします。

ディスプレイ

5m離れて観る前提のテレビにフルHDや4K解像度を求めてどれだけ意味があるかというのと同じで、こういうデバイスで解像度的なカタログスペックをどうこう言っても仕方ないのですが、アプリを開発する際のために960x540ピクセルとメモしておきます。

充電

Qi非対応の悲しさ。普段使いを標榜するならついていてほしかったところですね。

ストレージ

プリイン品あれこれ+自分でいくつかアプリをインストールした後の状態で5.7GBほど空きがありました。イメージ的にはNexus 4の8GBモデルを買ったような感じでしょうか。潤沢ではありませんがすぐにつらくなるほど少なくもありませんね。micro SDカード刺さるし。

= ソフトウェア面の話

OSバージョン

比較的特殊用途のものについては必ずしも最新OSが入っている必要はないのであまり気にしません。そうはいっても先代の2.2のままでは厳しかったところ。今回の端末に入っているのは4.0.4なのでギリギリだけど十分な世代です。アクセシビリティAPI使えるし、単体でスクショ撮れるし、中途半端に4.1とかよりはsystem-wideなログをadb無しで取り出しやすい(通常版のOSではadb接続メニューが外されているので 少々厄介)し。なるべく開発者用システムソフトウェアを適用せずに開発する縛りでやってみたいところですね。閑話休題、CPU的には yakjuと同様に4.3までは比較的さらっと上げられそうですが、まあその先は少々OMAP的な意味で面倒そうです。

Bluetoothすばらしい

どちらかといえばハードウェアな話ですが、Bluetoothキーボードがないと各種文字入力が大変つらいので手元にあればすみやかにペアリングすべきです。なお、Macとペアリングしてファイル送信を試みていたら不意にリブートしたりしたので、なんか脆弱性のかおりがしますね。
まだ使っていませんが、日々テザリングでのネットアクセスをすると考えると、Wi-FiよりもBluetoothテザリングのほうがバッテリ消費を抑えられそうな予感がします。

AirPlayアプリでiOSとつなぐ

MOVERIOのストアでiOSからのAirPlayを受けるMirroring360というアプリが配布されています。これを使ってiPhone 5sからChromeでのWebブラウジングをストリームしたり、そこから見かけた動画を開いたりしてみました。
出先だったのでAirPlay要件を満たすためにiPhoneでテザリングして、更にLTE通信でどんどんiPhoneが熱くなっていくという胸熱展開でした。そのためか、ミラーリングがそこそこ途切れて、更にしばらく使っているとセッション切れるなぁという感触でした。試した環境が新幹線の中だったのが悪かったのかもしれませんが。
しかしiPhoneを横持ちしつつ、画面を見ずに操作するというのは割と新しい感覚でした。なにか応用できるかもしれません。

= 実用性の話

ソフトウェアのくだりでも書いたように、外出時はともかく家で使う際にはBluetoothキーボードの利用が前提となります(私の場合)。通常のフリック入力は厳しいです。
そして、MOVERIOは果たしてネット回線さえあれば普通に使える端末となりうるか、という疑問が湧いてきたので少し考えてみました。

結論からいえばなんとかなって、現状はMOVERIO自体のアプリストアを充実させるよりも先にAmazonアプリストアのインストール導線をいい感じに張ったほうがいいのでは、という感じです(MOVERIOのプリインから察するにおそらく楽天がスポンサーなので、難しいかもしれませんが)。
前述のようにOMAP 4460というGalaxy Nexusと同等のCPUを積んでいるので、シンクライアントっぽい使い方よりは端末側でそれなりのCPUパワーをかけて処理をさせるスタイルのほうがより良い体験につながるといえます。
つまり、使えるアプリの量と質によって価値がほぼ決まるパターンです。

以下は、手元環境にて公式野良apk配布されているAmazonアプリストアのみを拾ってきて、これを起点として公式配布されているもののみで構成した図です。


見ての通り
  • Facebook
  • Twitter
  • Kindle
  • OneDrive
  • Adobe Reader
  • Puzzle Bobble
はいずれもオフィシャル品がAmazonアプリストアで配信されています。ほんと究極の野良マーケットです(パズルボブルは縦ビュー専用なので実質遊べませんでしたが)。MOVERIOの独自ストアは課金対応していない?ためか無料アプリしかありませんでしたが、Amazonアプリストアなら当然無料/有料どちらもあります。

そして今のところ、キラーアプリとしてKindleが泣けるほど最高です。


あと、iSyncr(+Rocket Music Player)を使ったiTunesとのWi-Fi同期もなかなかの威力です。
作業中に耳だけでなく目まで幸せになれます。

 
スクショでは確実に伝わりませんが、この光景が視界に浮いてるわけです。

Huluも破壊力のあるコンテンツ候補ですが、残念ながらMOVERIOからはAmazonアプリストアの一覧に表示されません。端末指定でブラックリストされているのか、ホワイトリストに入っていないのかはわかりませんが残念です。当然、Netflixもありません。
あとはLINEやHangoutsが無いなどですが、まあそのあたりはiOSなりAndroidなりの端末(どのみちテザリング用に持ち歩くのだから)でカバーすれば良いでしょう。

あと、細かなところですがデフォルトで黒一色の壁紙が用意されるだけでだいぶ使い勝手が上がる気がします。ホーム画面の壁紙、なんかノイズ載っているのから見てわかるようにカメラのレンズを指でふさいで撮った写真です。

さて、あまりまとまりはつきませんが、せっかく6ヶ月間無料で借りることができたのでしっかりと使い倒していきたいと思います。

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