Pivotal Trackerは、「やることや、その優先度をどんどん組み換えつつ進行してプロジェクトの目的を達成するための管理ツール」です*1。
ソフトウェア開発でありがちな
- 開発期間が短い
- 仕様が変わるのに開発期間は延びない
- やることの順位付けが正しくできない
- 誰に確認してもらえばいいのか明確でない
- やってるうちにテンションが下がっていく
といった問題に対して「やりたいことを突き詰めていったら、そりゃ当初見えてなかった仕様が必要になるかもしれないし、優先度が変わってくるかもしれない。市場へ出してみてフィードバックが得られたら尚更。だけど時間は有限なのでそんなに無茶は効かないし、やむなく無茶するならするで最低限無茶をやってることだけは認識を持ちつつ納得して進めよう。いのちだいじに。」という進行をしたいプロジェクトに打ってつけのものです。
逆に、「新しい技術要素は無いし、仕様を変更することもまずないので、粛々とやろう。」という進行のプロジェクトにはあまり向きません。
興味を持ちましたか? 多分持ちましたよね。今なら60日間無料でフル機能を使えるトライアルがあるので、使ってみてください。Googleアカウントでログインしてすぐに使えます。OSSなど、タスクを全世界へ公開しても問題ないプロジェクトであれば全機能を無期限無料で利用できます。
逆に、「新しい技術要素は無いし、仕様を変更することもまずないので、粛々とやろう。」という進行のプロジェクトにはあまり向きません。
興味を持ちましたか? 多分持ちましたよね。今なら60日間無料でフル機能を使えるトライアルがあるので、使ってみてください。Googleアカウントでログインしてすぐに使えます。OSSなど、タスクを全世界へ公開しても問題ないプロジェクトであれば全機能を無期限無料で利用できます。
Pivotal Trackerの初歩については技術評論社さんの「Smartphone Design」(2012年9月28日発売)に記事を書いたので、興味のあるかたはぜひどうぞ。思い返してみるとあの本(というかムックか)はVisual Studio方面の高橋忍さん、かれこれ10年ぐらい前に私がWin32 APIとC#を学ぶ際に一方的にお世話になった赤坂 玲音さん、コロプラの馬場さん、Simejiの矢野りんさんやadamrockerさん、先日テックヒルズで話す機会を頂いたAimingの牧野さんら、相当控えめに言っても「錚々たるメンバー」による作で、いろんなトピックをぱらぱらと読んで楽しめて役に立って1,580円(税込1,659円)は大変お得だと思います #sウテマ
ちなみにPivotal Trackerについては、1年経ってサービスのロゴと一部ログインUIこそ変わり検索など機能強化されました(そして執筆当時にはあった日本語処理上の不具合が解消されました)が、基本的な考え方や扱い方は執筆当時から全く変わっていません。
さて、本題です。
Pivotal Trackerは、各ストーリー(タスク)に細かな期日を割り当てないという特徴を持っています。あくまでも特定のスプリント内での処理をターゲットとし、また、柔軟にその処理順を変更することで細かなピボットを繰り返していくというコンセプトからすると、マイクロマネジメント的な過度の細分化と管理は不要ということでしょう。
いえ、正確には不要ではないのです。「自分のやることの期日は自分で管理できる人または集団のためのもの」ということです。純粋にプロジェクトをスクラムで進行する場合であれば、スクラム会議(朝や夕など定めたタイミングでの15分以内の日次ミーティング)を軸として解消するものといえます。
では、オープンソースのプロダクトや日次ミーティングを開催するのが難しい環境ではどうすればいいのか。
→やはりプロジェクトメンバー各々が管理するしかありません。
ここで大きな問題が生じます。タスクの多重管理です。
GTD運用に重要なポイントはいくつかありますが、それは機会を改めて書くことにして、今回着目したいのは
「要対応のタスクをGTDのツール(手帳でも、ソフトでも)上へ漏れ無く書き出す。そして優先度をつけ、実行フェーズでは脇目もふらずに処理する」という性質です。このためには
- Pivotal TrackerとGTDツールとの間でタスク情報を同期する(二重管理を極力避ける)
- タスク管理に必要な操作量と複雑さを極力低減する(操作は少ないほうが良い)
ことが重要です(※人力で複雑なワークフローを回すと数十〜数百のタスクを処理しているうちにきっと漏れが出ます。漏れを出さないようにチェック回数を増やす策も一定有効ですが、明らかにストレス源となります)。
Pivotal TrackerはAPIが充実しており、外部ツールへと情報を取り出しやすいです。それを使った連携方法としてomnifocus.rb + omnifocus-pivotaltracker.rbが大変便利なので紹介します。OmniFocusでなくても勿論良いのですが、私がOmniFocusにべったり依存した生活を送っているので、OmniFocusベースの紹介です。
設定方法:
先に、Pivotal TrakerのAPIキーを発行します。
My Profileページへ行き、画面下部のAPI TOKEN部分で"CREATE NEW TOKEN"をクリックします。
図のようにトークンが発行されればokです。
続いて、Rubyで書かれたOmniFocusバインディングとPivotal Trackerプラグインをgemsからインストールします。
トークンを設定したら、もう一度
設定方法:
先に、Pivotal TrakerのAPIキーを発行します。
My Profileページへ行き、画面下部のAPI TOKEN部分で"CREATE NEW TOKEN"をクリックします。
図のようにトークンが発行されればokです。
続いて、Rubyで書かれたOmniFocusバインディングとPivotal Trackerプラグインをgemsからインストールします。
$ sudo gem install omnifocus omnifocus-pivotaltracker
$ of syncここまで実行すると、~/.omnifocus-pivotaltracker.ymlに設定ファイルのテンプレートが作成されます。このファイルに、Pivotal Trackerから発行したAPIキーを記入します。:user_name:には、プロジェクト内で利用している略名を指定しましょう。なお、omnifocus-pivotaltracker 1.1.0以上では、マルチアカウントをサポートしています。公式READMEにあるように
---と複数のトークン設定を続けて書くことで、複数のアカウントの情報と同期できます。様々なプロジェクトで別々のアカウントを持っている場合などに大変便利です*2。
-
:token: aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
:user_name: muo
-
:token: bbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbb
:user_name: KN
トークンを設定したら、もう一度
$ of syncを実行しましょう。OmniFocusのnerdというプロジェクトディレクトリ中にPivotal Trackerのプロジェクト群がインポートされたはずです*3。
このような状態のプロジェクトは、OmniFocus上で
このように表示されます。運用ルールとして「期日入力はOmniFocus上でおこなう。ほかの一切のワークフロー処理はPivotal Tracker上で通常通りにおこなう」と定めるのが重要です。あとはcrontabで
ちなみにOmniFocus上でタスクを完了状態にしても、Pivotal Tracker上で何らかの完了状態になるまでは次回同期時に状態が巻き戻されます。期日入力以外をOmniFocusでおこなう=ルールに違反したミスなので、早期に検出できて良いですね*4。
*/10 * * * * of sync 1>/dev/null 2>&1のように10分毎の実行を仕込んでおきましょう。Pivotal Tracker上で完了状態(Deliveredなど)へと変更したタスクは、10分以内に反映されることになります。あとは「完了タスク、ちゃんと完了チェック付けたっけ?」などは忘れてひたすらと実行フェーズを頑張ってください。
ちなみにOmniFocus上でタスクを完了状態にしても、Pivotal Tracker上で何らかの完了状態になるまでは次回同期時に状態が巻き戻されます。期日入力以外をOmniFocusでおこなう=ルールに違反したミスなので、早期に検出できて良いですね*4。
Q. ところで17倍ってどういう意味?
A. 素数!*5
*0: こちら
*1: Pivotal...といえばリーン・スタートアップ(懐かしい)書籍中で技術協力としてPivotal Labsがクレジットされていたのを覚えている方もいらっしゃるでしょう。えっ、いない?そんなぁ…ともかく、その会社の製品(サービス)です。
*2: 別のアカウントで持っているプロジェクト名が同じだったらタスクが混ざってカオスなことになるので注意してください
*3: omnifocus.rbの現行版にはnon-ASCII文字コードの扱いに問題があり、日本語プロジェクト名を扱うと「同期するたびに空の同名プロジェクトが増える」という不具合があります。パッチは投げてあるので、取り込まれるのを待つか、日本語プロジェクト名を避けるか、手パッチで対応してください。
*4: OmniFocus側を状態の正とするのはイマイチ良い策といえません。Pivotal Tracker内には「ストーリーの結果をオーナーに確認してもらい、問題があれば差し戻してもらう」というワークフロー概念および「FeatureとChoreというストーリー種別」が存在しており、OmniFocusでシンプルにこれらをカバーするのが割と無理筋なためです。
*5: Effective Android 達人出版会版の36章参照
*1: Pivotal...といえばリーン・スタートアップ(懐かしい)書籍中で技術協力としてPivotal Labsがクレジットされていたのを覚えている方もいらっしゃるでしょう。えっ、いない?そんなぁ…ともかく、その会社の製品(サービス)です。
*2: 別のアカウントで持っているプロジェクト名が同じだったらタスクが混ざってカオスなことになるので注意してください
*3: omnifocus.rbの現行版にはnon-ASCII文字コードの扱いに問題があり、日本語プロジェクト名を扱うと「同期するたびに空の同名プロジェクトが増える」という不具合があります。パッチは投げてあるので、取り込まれるのを待つか、日本語プロジェクト名を避けるか、手パッチで対応してください。
*4: OmniFocus側を状態の正とするのはイマイチ良い策といえません。Pivotal Tracker内には「ストーリーの結果をオーナーに確認してもらい、問題があれば差し戻してもらう」というワークフロー概念および「FeatureとChoreというストーリー種別」が存在しており、OmniFocusでシンプルにこれらをカバーするのが割と無理筋なためです。
*5: Effective Android 達人出版会版の36章参照