よなよなリフロー: Lattice iCE40LP384(失敗)

2016年11月16日水曜日

最近中国資本が13億ドルで米Lattice Semiconductorの買収を計画の記事で話題になった、LatticeのFPGAです。
32ピンとFPGAにしては少ないピン数で5mm角というほどほどの扱いやすさを感じたので入手してみました(図1)。Mouserで1つ190円ぐらいです。
図1 iCE40LP384チップの外観

基板

0.5mmピッチQFNパッケージなので手ハンダが厳しく、ステンシルを作ってソルダーペースト塗布→リフローの流れで作ろうと考えました。チップを45度回して四方へいい感じに信号線が伸びる基板に多少のあこがれがあったので、今回はブレッドボード用のブレークアウトボードを作ってみました。
Elecrowで通常注文し、8日ほどで到着しました。
図2 届いたブレークアウトボード

初ステンシル

実は今回のものは私が最初に作ったステンシルです。実際に使う順序はよなよなリフロー: 極小レギュレータ MIC5524-3.3Vのほうが先になりましたが、基板アートワーク作業/発注/到着すべてこちらのほうが早く、しばし寝かせていました。
前回の記事で書いたようにユポ紙ステンシルを使わないと決めています。このため、とにかくKiCad→ステンシル→ソルダーペースト塗り→リフローの流れの不明点を早く潰していかないと先々が不安でした。
多くのPCB製造会社ではステンシル作成費用がかさむようですが、Elecrowは$16.00で15x15cmまでのステンシルを作成してくれます。この値ごろ感もあり、初回注文分は最悪使えなくても勉強になればよし(当然、事前に可能な限りの確認作業はする)という気持ちで注文しました。

パーツ実装

最終的なパーツ配置イメージは図3です。
図3 ソルダーペーストなしで仮位置合わせをした
前回のリフローで多少は経験値がたまったので挑戦してみましたが、難しかったです。前回は基板の端に位置合わせ用の無駄チップコンデンサ(C0603)を配置していましたが、今回使ったステンシルはそのような知恵を見出す前の世代のものです。
5mm角チップとそのパッド位置のみを頼りにしてステンシルの位置を合わせるのはとても難しいと感じました。
図4 1度目
隣同士でベタッとくっついてしまっている場所があります。ペーストを拭ってやり直し。
図5 2度目
やはりくっついてしまっている箇所があるのと、斜めにズレたためやり直し。
図6 3度目
ペーストの量はほどほど良さそうですが、塗れていない(抜けていない)パッドがあったのと斜めになっているのでやり直し。
図7 4度目
完全にズレた。
と、4回失敗しました。このままリフローまで強引に進めても成功する可能性が見えなかったため、撤退しました。
ミシン目カット基板ではなくとも、基板の端っこにある空きスペースへC0603を配置してステンシルを位置合わせできるようにしておくのが良いと感じました。
あと、ステンシルに残ったソルダーペーストをうまく拭き取らないと穴に詰まってしまうので、どうしたものかなと考え中です。ステンシルは0.1mm厚あるので、普通にキッチンペーパーへアルコールを染み込ませて拭うだけでは一部落ちきってくれません…。商用のリフロー環境では溶剤に浸してメンテなどするのかもしれませんが、家庭用の良い方法を探したいところです。

撤退戦

悔しいのは、今回のソルダーペースト塗布直前に一度iCE40LPのパッケージを開封してしまったことです。
多くのLSIパーツにおいて、ハンダ付け前の湿度管理は重要です。今回使ったのはMSL 3のパーツで、基本的に開封後は一定の時間内に実装を終えることが求められます。さもなくばモールド部分にたまった水分によってリフロー時に内部へクラックが入ったり断線したりとややこしい問題が起こり得ます。一旦開封したパーツを規定時間を過ぎて利用する場合は90度あたりでしばらく焼く(ベイクする)ことで水分を抜く必要があり、厄介です。
このあたりはIPC/JEDECによるICパッケージ(MSL)の防湿管理というページがとても参考になります。
このため、撤退を決めてすぐにガムテープで仮の封をしました(図8)。残念な感じになっています。
図8 パッケージをガムテープで再封
パッケージに入っていた乾燥剤の交換もしていないのでダメ感がかなり強いのですが、今回購入したものはあくまでも試作用なので再度開封後にもベイクはしないつもりです。再封に食品パック用のニクロム線シーラーを使えば多少はマシだったかもしれません。

そういうわけで

iCE40LPは位置合わせ用のガイドをつけた基板とステンシルが届くまで一旦保留ということになりました。

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