ハード開発で詰みが見えたので、やすうまロジック・アナライザを探した

2017年1月6日金曜日

基板上の信号が見えない

昨年末に同人ハードウェア製作をしていたのですが、自前設計の基板に正しく信号が流れているのか確認するのに苦労することが何度かありました。
これまでは安いテスター1本でやってきたのですが、さすがに限界かなということでオシロスコープ(オシロ)やロジック・アナライザ(ロジアナ)の導入を検討しました。

オシロを買うかロジアナを買うか

信号がきっちり出ていることを確認したいという意味では、オシロの範疇に思えます。回路や基板の設計をやっていると、たとえばI2Cでのプルアップ抵抗値と信号波形の関係を把握しつつ試行錯誤するケースがあります。そのような場合にロジアナではどうにもなりません(ロジアナのA/D変換部分で4-8bit程度の出力をするMSO風オプションがあっても良い気はしますが)。
しかし、私が扱うのは基本的にデジタル信号です。迷ったら両方買えという格言がありますが、このあたりの高額機材をポンポン買っていては身が持ちません。扱っている信号種別はSPIやI2Cのようにスタンダードなものが多く、それらをいかにサクッと検証できるかを重視すべきと考えました。
ということで今回はロジアナを買うことにしました。格好良くいえばデジタル側に軸足を置くみたいな話ですが、アナログ側で本格的に詰まったら結局半泣きで秋月へ駆け込んでオシロも買うと思います。

安価で機能の充実したロジアナ探し

1万円~2万円あたりの(製品ドメインとしては)手頃なロジアナを求める人は昔から居て、一定は先人のレールがあるようでした。検討の過程で上がってきたものをいくつか書き残しておきます。
AliExpressもざっと見てみましたが、ライセンス的に危うそうなSaleae製品のコピー商品が多いと感じたのでやめました。

ZEROPLUS 64kb 16ch 100MHz

秋月で売っているZEROPLUSロジックアナライザ64kビット16ch100M LAP−C(16064)は割と良さそうでした。2万円は予算オーバーですが、調べた限りハード・ソフト共に評判が結構良い製品です。しかし発売から6年経っていることから、もう少し新しいアーキテクチャで確保可能なデータ量も多い製品があるのではないかと考えました。

1万円ロジアナ自作キット

一部界隈で有名なカメレオンUSBの方のロジックアナライザキットもあります(ました)。あまりこの方面の手組みはしたくないなと思って見送りました。

Sigrok: オープンソースの信号分析ソフト

ここで少々目をソフトに転じました。信号をキャプチャするハードを安価に揃えられても、信号を解釈してデータダンプするにはソフトが必須です。
いくらか探してみて見つかったのがSigrokというオシロとロジアナの両方の機能を持つオープンソースの信号分析ソフト(というか信号分析基盤)です。幅広いロジアナをサポートし、それなりに幅広い信号種をサポートするという素晴らしさです。

Sigrokと組み合わせる前提の廉価ロジアナ

Sigrok wikiのCategory:Open source hardwareでいくつかの製品が紹介されています。
20MHz駆動のPICに32KBのSRAMを4つ組み合わせるというゴリ押しみの高いLogic Shrimpが割とツボでした(実用性はさておき)。
AndroidとがっちゃんこしたOsciPrimeも面白そうでしたがオシロはひとまず買わないことにしたのと、値が張るので回避しました。
この界隈ではFPGAをベースとするロジアナの老舗SUMP.ORGがあり、これに基づいたボードが数種類存在するようでした。たとえば$50のOpen Workbench Logic Snifferです。割と良さそうですね。
秋月ではXilinxのSpartan系開発ボードであるPapilioシリーズに対するロジアナ拡張であるPapilio FPGA Logic Analyzer Tools Kitも扱っています。

DSLogic Pro

そんな中で見つけたのがDreamSourceLabのDSLogic Proです。元々は2013年末頃のKickstarter案件だったようです。
製品ポイントをまとめると:
  • 最大サンプリングレート: 4チャネル400MHz
    • 16チャネル時は100MHz
  • 内蔵バッファメモリサイズ: 256Mbit
  • ソフト: Sigrokのカスタム版+自前ビューア
    • Windows/Mac OS X/Linux用ドライバ提供
    • ビューアはSigrokのPulseViewベース
  • 直販で買えばクリップ10個付き送料込み$99
ということで、きちんと動いてくれればかなりお買い得な製品だと感じました。似た価格帯でオープンソースなものとそうでないものがある場合、オープンソースなものを選んだほうが何かと嬉しいですし。
ビューアのGitHubリポジトリ: DSViewを見た感じ、最近メンテスピードが落ちているようですがそれなりの品質には到達していそうです。
そういうわけでサイト直販のPayPal払いで2016年12月13日の晩に注文しました。
次回は製品が無事に届いて実際に動作を確認した話です。

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