Pivotal Trackerをゆるく実用して3年経つ話

2014年12月19日金曜日

このエントリは Pivotal Tracker Advent Calendar 2014 の19日目のものです。前回は5日だったので2週間ぶりですね。そして暫定最終回です。
まあ、Pivotal TrackerのAdvent Calendarがあるという時点で割と驚いたので、25枠中2枠しか埋まってなくてもそんなものかなという気がします。

さて、Pivotal Trackerについてはこれまでもたまに本blogで触れてきました。
前回が何だったかなと調べてみると OmniFocusとPivotalTrackerの連携でタスク管理が17倍効率化すると話題に というものでした。エントリを読み返して「へー去年は"GTDアドベントカレンダー2013"なんてあったんだー」と脚注のリンクをたどり、悔しい思いをしました。

もう1年遡ると、2012年9月発売の雑誌(というかムック)にPivotal Trackerの簡単な使い方に関する記事を書きました。紙媒体への執筆に慣れていない時期で、締め切りギリギリになったのを覚えています*1。
 
それからはや2年と思うと時間の流れは早いものです。進捗だめです。




なぜこう 懐古厨乙! なことを書いてるかという話ですが、単純です。Pivotal Trackerは2年前の時点でほぼ完成していて、その後は細かな改善こそあれど、ワークフロー面での変化はありませんでした。元の出来が群を抜いていたとも言えます。
タスク管理ツールというのは大体のプログラマにとって一度は作ってみたくなるもので(偏見)、実際この2年の間に様々なタスク管理サービスが出てきているのですが、なかなか使って「これだっ!」というものはありませんでした。
Unreal Engine 4のマイルストーン管理に使われているTrelloは割と良さそうだなーと感じますが、画面構成として横スクロールが多くなりがちなところが自分で使うにはイマイチしっくり来なさそう、という感じです。

Pivotal Trackerがどういうプロジェクトの管理に向いていると思うか、については前出の OmniFocusとPivotalTrackerの連携でタスク管理が17倍効率化すると話題に で触れているのでそちらを参照ください。

ここが良いよPivotal Tracker


ここで挙げていくものになんか「うおおぉぉぉ」となった方は使ってみると合うかもしれません。

タスクのメール通知にそのまま返答するとコメント追記できる

それGitHubでもできるよ!と思った方、残念ながらGitHubは日本語で返答すると盛大に文字化けします。もうずっとこのままです。GitHub private repoのissuesでタスクを管理していた某所では、たまに居るメール返信でコメントをする人に対して文字化けしたコメントの文字コード解析班が必要になっていました。だから皆:+1:とか:+100:とか適当なコメントばっかり返すんじゃないか嘆かわしい。

タスク編集中に他の人が編集・コメントした際にほどよく画面上通知してくれる

そう、Google Waveのように。
複数人での利用が楽しくなります。 オンラインツールの孤独感をほどよく緩和してくれます。
最近の改修で少し分かりづらくなったけど、まあこれはこれという感じなので良いです(満足)。

Googleアカウント(Apps含む)でログインできる

これは仕事で利用する際にポイント高かったです。参加者の追加や退職時の扱いなどをGoogle Appsアカウントベースでなるべく一元管理しようというスタイルの会社では導入しやすさがだいぶ高めな印象です。
とはいえ、「指定ドメインのアドレスのみをアカウント追加できるようにする」といった縛り機能は存在しないので、管理権限を持っているユーザのオペレーション力に依存する部分は一定あります。

1人プロジェクトで使う分には無料かつ非公開で使える

プロジェクト管理ツールは、機能セット以上に使っていてしっくり来るかどうかという感覚的なポイントが生産性と満足度(これらは強く相関します)に影響します。まずは使ってみないとなんとも言えないのです。その点、Pivotal Trackerは
  • 全世界に公開しても構わないプロジェクト(OSSなど)は無料で何人でも共有できる
  • 非公開のプロジェクトは1人で使う分には無料で作って管理できる
という、なかなか良い形をとっています。個人的には全部無料!というのよりも筋は良い気がします。有料利用のポイントがあることは、ちゃんと使うための学習コストを払おうかと真剣に検討するきっかけにもなりますし。

ストーリーをFeature/Bug/Chore/Releaseと区切ったのがすばらし

これは完全に慣れてからの感覚です。慣れるまでは「どのタスクをFeatureにするか」など、一定悩む部分がありました。このあたりが、無限にタスク種類を増やしていってあばばばばとなるRedmineとの違い(主観)なのかなーと思っています。

ワークフローが必要十分でよく練られている

Pivotal Trackerにはタスクの依頼者と実行者という最小限の概念があり、実行者が終えたものは依頼者に確認されて初めて完了となります。Featureストーリーのライフサイクルは以下の通りです。
+----------------+                  
|  unestimated   |                  
+-------+--------+                  
        |                           
+-------v--------+                  
|   estimated    |                  
+-------+--------+                  
        |                           
+-------v--------+                  
|     started    <----------+      
+-------+--------+          |      
        |                   |      
+-------v--------+   +------+------+
|    finished    |   |   rejected  |
+-------+--------+   +------^------+
        |                   |      
+-------v--------+          |      
|    delivered   +----------+      
+-------+--------+                  
        |                           
+-------v--------+                  
|    accepted    |                  
+----------------+                  
ひとりで使う際には煩雑というか大げさですが、まあ嫌ならぽちぽちとボタンを連打して状態を変えてしまえば良いです。Choreなどはもっと簡略化されたフローを持ち、これはこれでまた良いです。

他サービスとのインテグレーションもほどよい

私が使ったことがあるのはiOS/Androidアプリのクラッシュ情報分析サービスであるCrashlyticsと、ひとり用タスク管理ツールのOmniFocusです。

Crashlyticsでは、新たなクラッシュ種が見つかるたびにPivotal Trackerへ自動登録するという仕組みを使えます。少々ノイズで溢れてしまうので今は使っていません。

OmniFocusは例によって以前のエントリ OmniFocusとPivotalTrackerの連携でタスク管理が17倍効率化すると話題に で紹介した通り、Rubyで書かれたOmniFocusとの連携ツールを介して処理します。
基本的に自分のタスクは全てOmniFocus上で管理しているので、その中にPivotal Tracker系のものを挟み込むスタイルになります。とりわけ、Pivotal Trackerにはタスク個別の期日という概念がないため、「直近3日ぐらいでやるタスクを緻密に計画したい」というタイミングではOmniFocus側をメインで見ています。
残念ながらomnifocus.rbはOS XのAutomator向けに提供されている古いCarbon APIベースの口を叩いてOmniFocusと連携しているので、なにかと不自由です。Carbonベースのものはそもそもいろんな人が「もうメンテしたくない!」と全力で遠慮願っているシリーズなので、しなくて良いような苦労をいっぱいします。また、時代背景から来る事情でRuby 1.8を切れないのも地味に精神的ダメージを負います。
omnifocus.rbベースでは特に、日本語を含むプロジェクトの扱いが非常に面倒なので、そろそろYosemite以降専用のインテグレーションをJSベースで書いたほうがよさげなタイミングという気もしています。
俺、このblog更新が終わったらYosemiteにアップデートするんだ。

なお、GitHubへのインテグレーションも割と良さそうではあるのですが、少々利用モデルが合わずに使っていません。

iOSアプリはそれなりの出来

iOS 7以降のデザインスキームにあわせてそこそこ強化されたので悪くはありません。しかし基本的にさほどやる気ない感じで、気持よく使えるわけではなく気持ちモダンなだけです。「まあそんなにアプリ欲しいならAPI出てるんだしお前やればぁ?」という声が聞こえてくるような出来です。マルチアカウントログインすらできないので所詮それなりです。
このへんが、前述のように自分のタスク管理はOmniFocus側へ寄せた理由のひとつでもあります。もう3ヶ月ぐらいiPhoneアプリ起動してませんでした。

でもこれはチャンス ❗️❗️❗️

完全なアプリがあってはサードパーティで作る気力すら湧いてこない❌❌❌❗️

良いアプリを作って""圧倒的進化""✨✨✨

APIぶん投げジャーマン放置の運営に圧倒的「感謝」

まあ万能ではないよPivotal Tracker

前述のようにオープンなプロジェクト向けに使う分には無料で利用できるんですが、それなりに学習コストのかかるタスク管理ツールなので「よっしゃ、これPivotal Trackerで管理しようぜ!」とはなかなかなりません。既に会社で使っている人がたまたま数人集まって使う、とかには良さそうですが、そんなに使ってる人居ませんよね。
こういうタスク管理系のツールが広まっていく絵図って基本的にタスク管理をする立ち位置の人が「これ使うよー。他の人は基本的に見るだけでいいよ、私が適宜話を聞いてここにタスク突っ込んでいってメンテするから」という、なんというかMS Projectのオープンモデルみたいな形しかないのかなぁという感覚でいて、その意味では管理する人にやさしい出来のPivotal Trackerは割と良いセン行ってると思うのですが、使っている人をあまり観測しないんですよねぇ。
以前使ってたけど今は使ってないという人、皆どこへ行ってしまったのでしょう。雑に@muo_jp 宛に教えてもらえると喜びます。

最近の話

複数のプロジェクトを集約管理できる「Multi-Project Workspace」は2014年のアップデートでの目玉機能のひとつです。
ここでの個人的なイチオシは「プロジェクトをまたいでストーリーを移動できるようになった」ことです。他にもペインの切り方が変わってCURRENTとBACKLOGが原則的に統合されるようになったりICEBOXが空気化したなど、「実は地味に大きな利用スタイルの変化へつながる」ようなポイントがあるのですが、今回は除外しておきます。
まあ、このへんのデフォルトセットの出来の良さと、それに慣れることで得られる生産性の高さがPivotal Trackerの良いところなのですけれど。

他に、コメント欄でmarkdownを使えるようになったとか、GitHub互換な絵文字を使えるようになった :+1: とか、Google Driveのリンクをささっと挟めるようになったとか、まあ色々ありますが個人的な枝葉度が高いので今回は省略します。

*1: それから2年経ちましたが、年4回、計50ページの雑誌記事を書いたメモ を見る限りはあまり締め切りギリギリ体質は変わってませんね…よくない

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