#studygift - 注目されれば何してもいいんだっけ?って話

2012年5月18日金曜日

studygiftと坂口さんは確実に確信犯(いわゆる誤用の)ってやつだよ。studygift.netやtwitter、まとめblogあたり眺めて一通り「ハァァァ??」って釣られてから読むのお勧め。

あの人は、頭空っぽだけどたまたまGoogle+で日本一になっちゃったアホ女子大生、なんかじゃなくて自分自身をコンテンツにするってことを分かってやってる。って話が中心。そしてそのことの是非についての一考。
ある種の種明かしになっちゃうかもしれないけど、坂口さんとは昨年の8/30にIVS(Infinity Ventures Summit) Summer Workshopというイベント後の懇親会で少しだけ喋ったのでその話も交えつつ。逆に、当人をほんの少しだけ知ってる人間が書いたものなので公正な立場でのエントリではないかもしれません。「studygiftのステマじゃねーのこれ?」とか十分疑って読んで下さい。まあ、3分そこら話しただけで坂口さんのこと分かってるわけもないので偏見に満ちたものです。

まずカメラ、写真に対する姿勢の話。あの人は「写真好きなわけじゃないけど注目を集めるために自分で向いてると感じたからやってる」というようなことを言ってたし、その後のインタビューでも同じようなことを言ってた。
そりゃ、カメラ好きな人からするとなんだよそれって感じ。写真ナメてるくせに衆目集めるための釣りっぽいことしやがってふざけんな、ってなる。
だけど何かの関心を集めるうえで人が喜ぶものを分析して臨むってのはひとつのアプローチ。ゲームに興味ないけどゲームのプレイヤーが喜ぶものを作るにはどうすればいいのかを必死に分析して企画を立てたり開発をしたり、ってのはよくあるよね? 最近も
セガファンがセガに採用されるとは限らない ゲーム会社の就活とは
という記事で

昔からのセガを知っていて、「『サクラ大戦』や『ソニックシリーズ』の熱狂的なファンです」という学生や「ゲームセンターに今も通っています」という学生の方が、「マニュアル通りのことを答える学生よりもセガに入りたいという意欲を強く感じる」が、「採用につながるとは限らない」と断言する。
最も重視するのは「長期的に会社に貢献してくれる人材で、夢物語でなく、ビジネスとして生かせるアイデアを持っているか」だという。
また、営業や事務関係の職種は、かえってゲームをやったことのない人のほうが、素人の目線でゲームの内容を説明でき、向いていることが多いという。

こんな一節があった。対象が好きかどうかというのと、それを使って何らかの価値(この記事では就活の話なので会社の求める価値)につなげることが出来るかというのは全然別物。この意味で坂口さんは人の関心を集めるところにステータス全振りしてるような感じ。

成績の話は知らない。むしろ、別にいい成績を残したいけどお金が云々、ではなくて卒業出来さえすれば良いと考えてるのかもしれない。けど大学に何を求めるかも人それぞれ。

人格批判されるリスクまで認識した上でやってると考えられるのが、坂口さんの凄いとこ。ちょい考えれば「成績落ちたのが悪いじゃん」「金無駄遣いしてんじゃん」とか突っ込めるとこがいくらでも出てくるのも意図した作りだよね。twitter界隈でよくある炎上ってのは「自分に悪いとこなんて何もないよ!聖人だよ!」というようなキナ臭い人を見かけたらmixiとかfbとか漁って「なんだクソ野郎じゃねーか」と幻滅からのネガティブ落ちへ持っていくとこに最大の爆発力がある(多分)んだけど、予め明言しないまでも「自分のダメなとこってここだわー」と認識してるらしいものに対してそこまでの爆発力は無い。

studygiftってサービス自体、家入さんが絡んでる時点でクセあるのはわかってる。けど実際のところ坂口さんは可愛がられタイプ/面白がられタイプなので、個人でいろんな人に助けてもらいながら(場合によっては大学辞めたとしても)なんとかなっていくはず。でもstudygift自体がボリュームゾーンとして支援していこうとしてるのは坂口さんみたいな人じゃない。キャラがメチャメチャ立ってるわけじゃない人。勉強したい、けどどうすればいいのかよく分からない人。言ってみれば「フツーの学生」。
けど1つ目の事例がなんの変哲も無いものだったらサービスは話題にもならないから燃料として投下されてるのが"坂口綾優というコンテンツ"。典型的確信犯(誤用)型炎上マーケと呼んでいいような感じ。

studygiftの作りがトップページで坂口さん全力フィーチャーして専用サイトっぽく現状で見えるようにしてるのは、多分SEO方面で昔からあったランディングページの構造と全く同じ。

オーディエンスという面では、今回のメインターゲットとして直感的に見えるのはクラウドファンディング自体にある程度以上馴染んでて、CAMPFIREとかで募集されてるプロジェクトを見たり実際にお金を出したことのある人たち。多分1万人ぐらい。ある意味「またお前らか」層。40%がスルーして50%が嫌悪感抱いて9%が「そこまででもなぁ」と思って1%が「おもろいしお金だそう」とすればいいって感じじゃないのかな。あとはbuzzって同じぐらいの人数がお金出してくれて坂口さん以外についても多少お金集まれば滑り出しとしては上々(※もし出資者リストが公開されて9割内輪とかだったらかなり寒い話になるけど)。その後は"坂口綾優というコンテンツ"の実績をある程度元にして資金を引っ張るなりして"坂口綾優というコンテンツ"に依存しない体制に移行していけば有望スタートアップひとつ完成、というシナリオかな。
全然規模も中身も違うけど
Slashdot.jp: ソフトウェア業界でカリスマプログラマーをうまくフェードアウトさせることに成功した例として、ピーターノートンがあります。
シマンテックはまず、パッケージ写真からピーターノートンの写真をフェードアウト(以前のパケ写入り記事1998 [impress.co.jp](正面にでかく)、2000 [ascii24.com](サイズ縮小)、2001 [ascii24.com](正面から排除)、2001拡大 [ascii24.com](平積みでは見えない))、そして製品名も変え、ノートン臭の大幅な削減(当社比)に成功しました。
これ思い出した。

ともかく、現代的な「注目されれば何してもいいんだっけ?」に対するひとつの答えは相応の考えと覚悟があればある程度のこと(当然、法律や社会通念に反しないレベルで。だけど社会通念自体が多様化してる)はやってよくて、それを受け入れられる人が一定数インターネットを介してマッチング出来る時代になってるというものじゃないかな。
このスタイルでの"坂口綾優というコンテンツ"の賞味期限が極めて短いことは当人も周囲も分かってるはず。スキがあるからコンテンツにしやすい、けど同時に代替可能性が高いものでもある。特異性の薄い身体張ったネタは、同様に身体張れてちょっと味付けの違う人によって容易に代替される。

この意味だと業界内結局やってることはずっと変わらなくて、10年ぐらい前にあったサイト上の1ピクセルを1ドルで売りますってサイトと同じ。「なんだよそれ誰が見るんだよ意味ねーじゃん馬鹿じゃね?」って人がどれだけ居ようと関係ない。「おもろいやん」と思った人がお金を出して話題になってサイトの1000x1000px=100万ドルを売り切った彼の勝ち。納得してお金出してるんだから誰も損しない。オチは当然二番煎じサイトが雨後の筍の如く出てきて皆が投資対効果をある程度以上考えるようになって単価が一瞬で0に収束して価値無くなるって構造。

ソーシャルファンディング自体が持つ性質は「99%の人が興味ないかもしれないけど残り1%の人が興味を持ってくれるかもしれない領域について、そのマッチングと決済/アフターケアを行う仕組み」で、その日本における礎のひとつとして"坂口綾優というコンテンツ"を捉えると、よくやってるなぁと思う。「悪名は無名に勝る」を、覚悟持ってやってんだな、というのにも近い。


蛇足ながら、studygiftチームが焦ったかどうか分からないけど、ひょっとするとローンチ直前に出てきた近藤佑子さんが話題軸としては被るのでぐぬぬってしたかもしれない。


だからstudygift作ってる彼らが今すぐすべきことは貧弱なインフラとクソコードを全部捨ててGAEあたりでシステム組み直すこと(自分たちで出来ないなら出来る人に声かける)。捨てる勇気。と思ったらサイト復活したみたい。


書きたいことを超雑に書いてみた。あんまオチある話じゃないので多分読後感が「ふーん、で?」となったであろうことを謝っときます。


こんだけ書いてサイト消し飛んで皆逃げたら私もいい恥さらしやな(ノ∀`)タハー

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