ざっくり所感
とても今風なデザインの本。本書の主なターゲットは、デザイナーとエンジニアである。序盤に書かれていた通り。2002年前後に盛り上がっていたユーザ体験やユビキタスといった議論を、著者の実験から得られた知見込みで2015年付近の事情にアップデートしたものという感じだった。
("はじめに"より)
現代の、情報と絡むデザインの話をしていく上での共通バックグラウンドとして本書の雰囲気を掴んでおくと後が楽なんじゃないかなー(ということでやたら売れてるんだろう)。
全体的にあちこちの文献からの出典を明示した議論が多い。2,3,5章あたりは特に情報濃度が高い。きっちり掘り下げていきたい箇所は読み返し、記載されてる参考文献を辿っていけるという実用書な面もある。
2020年ぐらいにはきっとこういう本がもう一周出てくるはずで、そのタイミングで本書の第7章後半に相当する部分で名前が挙げられるか、というのがデザイナとしての目指すところになったりするのかなーというのをぼんやり考えた。
以下、振り返り用と読み返し用のメモ。
第1章
- 1-1、1-2は今更言わんでもなー、退屈だなーと思いながらも修行の心で読めばok
- 1-3あたりから段々エンジンかかってくる
- Twitterなど、参照すべき現実世界のメタファが存在しないサービスの発展からの脱メタファ→フラットUIという話
- 体験を考えるエリアとして現象レイヤ、文化レイヤ、社会レイヤと切り分けて議論するのは分かりやすい
- 現象レイヤはインタフェース文脈
- 文化レイヤはライフスタイル文脈・コンテンツ文脈
- 社会レイヤはコンテクスト自体を扱う(ここは文化レイヤ内のライフスタイル論とかぶるところも多いんじゃないかなーと思った)
第2章
- 道具の透明性と環境の透明性いう話
- インタフェースやインタラクション設計上の語彙を言語化することの重要性
- デザイン≠スタイリング
- 身体と環境の透明な接続: アフォーダンスとシグニファイアでは、アフォーダンス側の話
- 環境とのインタラクション(知覚や行為)→可能の知覚
第3章
- 制御性と身体の延長
- 各種アプリケーションでの実験から得られた認知の非対称性
- 体験と道具の自己感→道具の透明性
- 自己感: 自己帰属感(身体保持感)と運動主体感
- 「そのうえ、自己帰属は気持ち良いのである。」
- アニメーションに自己帰属感はない
- (しかしAndroidのMaterial Designではアニメーションでも自己帰属感を得られるようにしてるように見えるなぁ)
- (本書の中で言及されている3種類の「動き」:自己帰属する動き、他者を感じる動き、物理現象の動き。このなかでMaterial Designの目指すところのアニメーションの役割は物理現象の動きっぽい)
- コマンドジェスチャとオペレーションジェスチャ
- これらを混同してインタフェースを設計すると非常に使いづらくなる
- 「透明性を得るための道具の設計は、人とグラフィックの細かい現象をひとつひとつ適切に捉えていくことであり、感覚や演出で行うものではない。」
第4章
- 退屈だった
- 「情報が直接的に道具として利用可能な状態にすることを目指すのだ」のくだりで十分な感じ
第5章
- 情報の環境化
- 行為・行動・活動に基づいた設計
- インタラクションデザイン: 人の活動とメディアの関係を設計すること
- 面白いので読み返したい
- 「『人はシステムに注意を向けていることは当然』として設計」(インタラクションの拘束)してはいけない
第6章
- 「筆者にとってデザインは、どちらかといえばサイエンスに近い」
- 縁
- 「消える(もうない)」と「隠れる(まだある)」による存在感の表現
- 隠れ方をきちんとデザインすることで、世界の持続性を感じさせる
- 動きを伴う知覚→かたちの恒常性
- 終盤はポエム感が強いけど、言わんとすることは分かる気がする
第7章
- 「情報と物質を分けないデザイン」
- 人との関係から設計を考えられるデザイナーが必要になる
- インターフェイス関係の学会
- 「プログラミングは、アイデアを伝える最良のコミュニケーション手段」
渡邊恵太
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